心に響く射

ここ数年はドイツの全国大会に自身参加し、また審判及び、個人戦での射技の評価を行なっている。また、年に数回地方または中央講習会に講師として呼ばれて指導することも多くなっている。
そういったことで、益々各地で初心者から高段者まで多くの射手を見る機会に恵まれている。

最近は昔から知っている射手であっても、初めて見る射手でも特に「上手い射」だったのか「心に響く射」であったのかを見ることに務めている。この場合の上手い射というは、出来ばえの良かった守りの射で、本人の能力の範囲の射のことである。心に響く射とは、伸るか反るかの瀬戸際での攻めの射で、結果として能力以上あるいは、本人が意識して作れる以上の射が出来た時の事として定義したい。
往往にして、上手い射は減点が少なく総合評価はよくなりやすい、だが技術的に未熟な射であっても、的中の有無に関わらず、心に響く射が見れることを期待している。
心に響く射は上手い、下手を超えた抽象度の高いものと考える。つまり、射技的には未熟な初心者でも心に響く射が出ることがあり、上手な高段者でも、まったく心に響かない射もある。
弓は人に見せるために引いているのではないが、一所懸命で自己の持つ能力以上の射をもってして、見ている人を引きつけ、感動を与えることが出来れば、周りからの評価は「大成功の射」となるであろう。おそらく本人も的中の有無や審査の合否に関わらず満足の射ではないかと思う。こういった射は結果であって目的ではない、つまり魅せる射を目的にすると、見せかけの射になり本末転倒という事になる。あくまで結果としてそうなる事が重要である
言うは易し、行は難しではあるが、自己に鞭を打つ意味も含めて外であるいは自分の道場でこの様な射を看取る事に努力をしている。こうして自分を感化させ、一射毎攻め続ける、限界を超えた射に挑戦する起爆剤になっているいると思う。
皆さんもたくさんの「心に響く射」が体現できる事祈っています。