2025年の欧州講習会は、8月中旬に行われた。C及びBセミナーでは夏日で大変蒸し暑い日が続いたが、Aセミナーでは気温が一気に下がり、風もあったので少し肌寒いと感じるくらいであった。今回は妻と共に弓具店を展示販売したために、2週間継続してスイスのマグリンゲンに滞在することになった。
主任講師は鳥羽先生、講師として佐竹先生、佐藤先生、大隅先生、以上4名の先生が弓道連盟から派遣された。途中でAセミナーの始まる前日からは、スーパーバイザーとして、宇佐美先生が参加された。各セミナーで、強調されていたことは、「縦線を使って大きな射をするように」ということであった。
<個人的な理解>この言葉から自分なりの理解としては、縦線というのは、要するに体全体を使った行射を行うということではないかと思った。特に引き分け時はどうしても弓の抵抗力が左右から来るために、両手・両腕・胸、これら横線(水平方向の体の部分を)を主に使いがちであるが、横方向への開きはあくまで縦(足・脚・腰・背骨・頭)の伸びによる体の張りの結果が弓を開くという動作につながるような体の使い方になるべきではないかと思った。また体全体を使って大きく開いた結果が、軽く、強く、大きな離れにつながるようにというったメッセージではないかと思った。私はたまたまB、Cのセミナーでは講師の通訳を行ったこともより、先生の指導を間近で見ることができ、先生方の指導を通して「縦線を使った大きな射」とは?という課題について考えることができた。
個人的な指導については、1)打ち起こしから大三への移行時(いわゆる受け渡しという動作)に、矢が前(すなわち脇正面)に向いてから的方向へ行くので、できるだけ打ち起こし時の矢の角度(やや的の右側)を保ちながら大三では体と平行になるように持っていくようにというふうに言われた。工夫としては、左肘を速く伸ばさず、曲げたまま的方向へ持っていくようにするとうまくいった。2)引き分けで足を意識する。自分の理解だが、引き分けで上方への伸びが先行してしまうと、足や腰が空になってしまうというところを懸念されたのではないかというふうに感じた。縦への伸びはあくまで下からの伸びの連動によるものでなければならないと思った。3)見ている人が引き込まれるような射を目指すようにというふうに言われた。自分なりの理解は、引き分け・会で人を引き付ける引力と、内部に溜まったエネルギーを離れと共に放出することではないかと思った。、今までは引き分けでどうしても体の力を弓以上に使いすぎ(相応の力になっていない)弓の力が十分に体に溜まっていなかったのはないかと思った。弓のエネルギーが体内に包括される=引力増大、これが見ている人を引き付ける力になるのではないかと思った。弓のエネルギーと体内の気(息合いによる丹田に気が集まる)がぶつかり合った結果が離れにつながり、弓と体の双方のエネルギーが矢に乗り的を貫く、そういった射をしなさいと言われた感じがした。これは引き分けと離れでの相対的な力の方向を指しており、逆に引き分けで体の力を使って弓を引いてしまった場合は弓のみではなく人も引き付けるどころか体から引き離してしまい、離れも結局は手先の離れまたは引き分けから脱力した離れとなりやすい。弓道教本にも「射は流水の如く、残身は開花に似たり」と書かれている意味が少しわかってきたような感じになった。